・次に日本語を英訳してみましょう。
(1) 私は2〜3年間で英語をマスターしようと決意したところです。
→ ( ? ) I have just decided to master English in a few years.
→ ( ? ) I have just made up my mind to master English in a couple of years.
・ master という語は、名詞では「主人、飼い主、校長、師匠、達人、名人、…」、動詞では「〜を支配する / 征服する、〜に精通する、…」の意味がありますが、素人の人間があることを「マスターする」というのは驚くべき事であり、 master には常に「絶対性、完全性」が要求されると考えて下さい。
従って、 私達が簡単に口に出す傾向にある「英語をマスターする」という類の表現をnative speakers が聞くと、日本人はかなり傲慢ではないかと思うに違いありません。上記の例文のように「外国語を習得する」という意味では、 learn が最も適当でしょう。
(1) 私は2〜3年間で英語をマスターしようと決意したところです。
→ ( ◯ ) I have just decided to learn English in a few years.
→
( ◯ ) I have just made up my mind to learn English in a couple of years.
・ちなみに learn は「 ( 自分自身の努力で ) 〜を身につける、習得する」という意味であり、単に「勉強する」という行為にしか言及しない「 study 」とは区別して下さい。
(2) 私は英語を6年間一生懸命勉強したが、全くものにならなかった。
→ I studied English very hard for six years, but I could not learn it at all.
・それでは、日本語の「マスター」に相当する英語表現にはどのようなものがあるか、例を見ていきましょう。
(3) 〔アメリカでの 1 年間の留学予定で、現地での生活を始めたばかりの友人からの
電話で〕
「 1 年間で英語をマスター出来るとは思っていないけれど、流暢に話せたらいいな
とは思っているよ。」
→ “I don't think I can master English in a year, but I hope I (will)
speak it
fluently.”
(4) 〔 (3) と同じ条件で〕「 1 年間で英語をマスター出来るとは思っていないけれど、う
まくなれたらいいなとは思っているよ。」
→ “I don't think I can master English in a year, but I hope I (will)
make good
progress.”
・毎日バイリンガル・ネット・ニュースにアクセスし、英語の勉強に励んでいらっしゃる読者の方々も、「悟り」の領域である master までは届かずとも、地道に study することに励めば必ず learn することが出来ますので、「石の上にも 3 年」でお互いに頑張っていきましょう。